私だけのスター
なかがわひろか
切れかけた電灯の下で
私はまるで
フラッシュの照明を受ける
舞台上のファッションスターのようで
夜を纏い
黒いアスファルトの上を
踊るように歩くのです
世界は私だけを照らしていて
私は羨望の眼差しに
串刺しにされながら
それでも颯爽と歩くのです
電灯が切れた真っ黒の世界で
私は夜に一人取り残され
人々のざわめきも
喝采も
羨望も
すべて夢のように消えました
ほんの一時の間
私はスターでした
それはきっと
私だけのスターでした
(「私だけのスター」)
自由詩
私だけのスター
Copyright
なかがわひろか
2007-05-15 02:43:53
縦