もしも、だれかに愛されたなら未来は変わっていたかもしれない
わら
のぼる陽に、いつからか
乾いて乾いて、
ぼくの精いっぱいは灰のようになっていた
ビートニクにとりつかれた黒人の青年が、
若者が、
口々にさけぶ、
「 光が 今、必要なんだ
今でなければ・・・
照らし出す光が
今なければ・・・
今、なければならない・・・
地面に溢れた熱い精液に
鳥が来て・・・
」
目を見開き
汗ばみながら
そんな いつかの時代の光景
もうすこし違う時代に生まれていたらなんて
もうすこし違うところに生まれていたらなんて
そんなことを思ってみても
沈んでいく、なにかを
引きずり上げれるものもなく
いつかの女子高生だったキミももう
どこかで大人になっていて
たやすくやっていたウリも
そう
端から見りゃあ
たやすく見えたソレだって
そんなふうにして
見つけた、この世界への絶望も結論も
あの純粋な瞳からすれば、
それが、すべてだった
それが、ゆるぎない答えだった
それでも今、きみは、まだ、
どこかで、たぶん生きていて、
見切りをつけたはずの世界も
何事もなかったかのように流れている
ぼくの精いっぱいは灰のようになっていた
かなしみに似た造形は、むなしさばかりを募らせる
つまりは、なにも表しやしないことこそが、
真実なんじゃないのかっていう葛藤
ちっぽけな自分は、吐き出しそうな現実の前に
ろくに、ためらいを振り切れないままでいる
あがき、のぞむ純粋さなんて、
時として、だれもをキズつける鋭利な刃物でしかない
あわれなオトコは、だれもに痛みしか呼べず、
血のにじむ手で、それを握りしめたまま立ちつくしていた
人は他人の知るはずもない苦悩を
だれもが抱えているのだろう
俺の歩んだ道はどんなものなんだろうか?
痛みや孤独を気づかれまいとする苦悩は、
仮面をつくりあげていった
だが、ときに、
それに入ったヒビのようなものが
俺にとっての詩だとするのならば、
理想や理性のはざまでゆれる、一個の人間の叫びなんて、
いつの世代も男も女も
なにもは変わりやしないな
どうして、こんなに、風がやわらかいのだろう?
降り止まない雨のような鉛が
ゴツゴツと、ひたいを撃ちぬきつづけているというのに
なぁ、衝動よ
どこにいく?
声にならない声をいくら書きあげたって
だれに伝わるわけでもないだろう?
いや、
伝えるまいと、気づかれるまいと、
打ちつづけていたのではないか
迷いは、オマエの中にある
轢き殺そうとしたものは、
正しさか、あやまちか?
やさしさを願った者など、
しょせんは、良くても、
演じるようなマネしかできないのか?
「きっと、理解はされないのでしょうね。」
どこからともなく、あたまの中に聞こえてくる呟きは、
静かに、俺をうなづかせる
そうだ
いつかに願ったコトバはなんだ?
「ときに、あなたの笑顔に出会えること。
それだけで、シアワセなのです。 」
そうだったな
きっと、いつかの願いは叶ったんだよ
ゆけそうで、ゆけない
未来の先へ手をのばして
降り刺さる陽射しで、この腕を切り刻んでいるのは
どうしてだい?
笑っているよ
ずっと笑っている
そして、
いつか、静かに別れはおとずれるのだろう
ぼくは、光になりたかった
きらきら かがやく、
そんな光になりたかった
だから、ずっと走ってきた
走って、
走って、
つよがって、
おどけているのが、精いっぱいだったんだよ
崩れ落ちそうでも、立ちあがるんだ
黒く塗りつぶされる、こころを抱えて、
それが正体のように、こぼれ落ちても、
ハラわたをかき集めて、
見上げている
そして、届くかも、わからないコトバを書き上げるんだ
今日も、ちゃんと、生きているかい?
「こころの痛み」なんて、
言葉にすれば、他愛もない
せつなさも、
まよいも、
言葉にしてしまえば、
むなしいものでしかない
だけど、
そんな感覚たちが俺を殺そうとするんだ
そして、また、
そんなコトバたちで抗っている
滑稽かい?
きっと、きみからすれば、
バカみたいに見えているんだろうな
ゆれつづけている
それでも、きっと、
こころから望んでいるものは、
「まごころ」なんだ
とおく、とおく、
ずっと、とおくを見上げているような
そんな感覚
風がこんなにも、やわらかいのは、
どうしてなんだろう?
きっと、明日も、
うまくはないけど、笑っているよ
「ありがとう。 ごめん。 」