大門通の白石遊郭秘話
板谷みきょう
朝日さえ当たらぬ
この長い廊下
軋みだけが
響き渡る
*
売られて連れられ
廓の網
格子窓から
手を出して
遊客に色を売り 遊客に色を売り
組み敷かれ色声
漏らしながら
どこか覚め
夢見る
いつの日か出られる日を いつの日か出られる日を
かげろうの身はかなく
露と消え
長く見た夢が
叶う
今やっと自由に 今やっと自由に
朝日さえ当たらぬ
この長い廊下
軋みだけが
響き渡る
亡きがらを引き取りに
亡きがらを引き取りに
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弾き語る歌(うた)の詩(うた)