フォルティッシモ
霜天

静かに窓を閉じる
終わってしまった映画の後で
部屋の明かりを静かに閉じると
空間が水の中に満ちたようになる

溺れてしまうと、答えは出るだろうか
息継ぎをすれば、漏れてしまうだろうか


夜が深くなると
左折ばかりしてしまう
点滅する灯りに沿って繰り返しても
同じ場所には戻れない
迷っているわけじゃなく
繰り返しながら間違えているだけ

誰が先頭を走っているのか
なんて、問いかけてみたって
君は全てを聞いているようで
選びながら聞き取っている
誰もが間違えたくない夜の中で
ただ強く、腕を組んで


かける言葉を、深く踏み込む
低く響く音が夜の、その先の方へ届く

また明日になる
力強く、確信を伴って


自由詩 フォルティッシモ Copyright 霜天 2007-05-13 02:34:39
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