夜の散歩道
なかがわひろか

折れた木の枝は
交尾中のティラノザウルスのよう
街路樹は
地面から生えた手のよう

夜の散歩道には
昼間に見えない
不思議な生き物たちが
姿を見せる

地面に映る
巨人が僕を見つめている
見つめ返すと照れてしまって
暗いところへ隠れてしまう

夜の散歩道には
そんな照れ屋の生き物たちが
こそこそこそこそ
動き回っている

(「夜の散歩道」)


自由詩 夜の散歩道 Copyright なかがわひろか 2007-05-12 00:41:57
notebook Home