正しい路
なかがわひろか
平べったい横の線を辿りながら歩く
垂直にかけられた梯子には
立ち入り禁止の暗黙
手をつなぎ誰もが
出し抜かないように監視し合い
貼り付けられた笑顔に笑みを返す
でもいいのさ
愚鈍なる民の
ままでいいのさ
行こう
君もいいのさ
愚鈍なる民の
ままでいいのさ
行こう
笑いあって
励ましあって
誰にも出し抜かれないように
相互監視の視線の中で
いつしか居心地よくなって慣れる
そうやっておけばいいんだと
父も母も言ってた
それですべてがうまく行くと
だからいいのさ
愚鈍なる民の
ままでいいのさ
行こう
君もいいのさ
間違ってなんかないよ
だからいいのさ
行こう
(「正しい路」)