97、息を止めた 【いきをとめた】
雨宮 之人

生まれた瞬間から、私たちは繰り返す
産声を、いつまでも繰り返す
吸って、吐いて、また吸って
ずうっと昔 毒であったそれを

呼吸を止めてみると、拍動がよく聞こえる
リズムを取れ、と、それは告げている
この体に満ちた生命力が
存在を、主張する

「そうだ、繰り返せ」と
内なる我が生命は
また明日、と手を振るように告げて

それもまた戯れに
戯れに続くのだろう、絶えるまでは
太陽が、月が じっと私たちを見ている


自由詩 97、息を止めた 【いきをとめた】 Copyright 雨宮 之人 2007-05-10 01:02:59
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
字書きさんに100のお題