夏が終わり
ゼロ

夏の季節は
足早に過ぎて
けらけら笑う人々の
箪笥の肥やしになった
蝉は腐って
秋の落ち葉と同じ色で
どうにかして
ごろごろ転がって
冬の寒さで目を覚した
気が付くと白で
椿色の唇は
春が好きですって照れて
雪はどうですかって
聞いたら
椿は雪に映えますねと笑って
泥だらけの雪を蹴った
一緒に春を見ませんか
僕の言葉はまた
けらけら笑われて
これでは夏のままなので
この雪の下に春が
眠っているのだろうと
雪を掻きわけて
出てきたのは
蝉の抜け殻
結局夏が出てきて
無口な蝉は
仕方なく鳴き続けた
椿色には
似合わない声で
             


自由詩 夏が終わり Copyright ゼロ 2003-08-17 18:55:46
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