真夏日
水町綜助

取り違えられた

色の壁
名前を聞かれて
「青」
と答えてしまう

投げた
配水管の中に
あいまいな
猫が
右目がつぶれてしまって
横たわっている
弧を描いたらしい
血が
朝日に照らされて
真夏日の予感
弧を描いたらしい
血が
そのまま落ちて
張り付いている
清掃局は
消毒するらしい
電話一本だ

火葬
真夏日の予感

丘陵地の火葬場に十三歳
おかされて
まだ見おろす非常階段を知らない
名前を聞かれれば
「青」
と答えてしまう

サンドイッチを食べたいと思う
坂道の途中の狭い喫茶店で
西向きの煤けた窓から
埃っぽい西日が差し込むのを
水の入ったコップに受けながら



自由詩 真夏日 Copyright 水町綜助 2007-05-09 16:26:23
notebook Home 戻る