ポストのない街まで
たりぽん(大理 奔)
街角でポストが見張っている
僕は急いで携帯を隠す
桜の葉が、ぬるい風にざわめく
雨!
雨の予感だ
宛名のインクが溶けぬよう
ビニールのファイルに挟み込む
ビルディングに巻かれた雨粒が
上からでも、横からでもなく
走り抜けてみようと思う
乗り越えられない
胸の痛みなら
それも旅行カバンに詰め込んで
走り抜けて
辿り着く、その果てで
まだチリチリと痛むなら
それは僕の
罪
として
ポストが半開きの目で
見張っている
僕は急いでこの街を出る
ぬるい風、雨
なにもかもが
渦巻いている