五月の
まどろむ海月



  ? 風



何の拘りの
色調もなく
届けられた
薔薇の蕾

花言葉を探してみるが
ほのかに匂ふのは
五月の風


旅の君の便りからは
いつも金色が

 青空の下の
 麦畑の光

 古都の教会の
 鐘の音

 夕焼けの
 風見鶏

 妖精の白い足元からこぼれる
 妙なる調べもあったね

通いなれたジャズ喫茶の
香りのように
それらが懐かしい


わたしは
どんな幻の名前を
呟けばいいのだろう


視界に映った
あなたの秘密は
棘だったか
花びらだったか


それは とうに
墓地に埋められた
翼だとでも





自由なあなたの
魂の残り香を
抱きしめても
やさしい五月は
翠(みどり)に
透きとおるばかりです










  ? 雲



かなわぬ憧れから
金色に降りしきる痛み

消えない
てのひらの
想いは淡く
翠に透きとおり

五月の風に流れ
あの雲のように

あなたの空へ
彷徨うだろうか




 
 今夜は
 銀河の海を
 ゆったりと泳ぐ
 白鯨の夢を
 見たい










        


自由詩 五月の Copyright まどろむ海月 2007-05-08 12:53:27
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