水中マンホール
零椅

何の前触れもなく
唐突に
涙腺が緩み始めた

止めどなく溢れ出てくる様子は
雨の日のマンホールのようで
なんだか笑いそうになってしまったけれど
それでも
引きつらせてしか笑えなかった

何か悪いことをしたでしょうか

心に穴があいたのではなく
不思議と広がる虚無感

ああこれは何もない

決して満足しているわけじゃない
けれども
それなりに楽しい毎日で
虚しいといえるほど薄くはない
なのに
なんで
眼からは
零雨のように出ているのに
溜まっていく

マンホールから溢れ出る水と
意味もなく流れるこれは
比べるまでもなく

意地でもなんでもない
ただ純粋な気持ち


拭ってなんかやるものか


自由詩 水中マンホール Copyright 零椅 2007-05-07 23:18:36
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