呼吸
山中 烏流

朝靄に隠された
乳白色の意識の中
息を潜めるだけで、聞こえる
それが終わりではなく
始まりであることを
裏付けするような
 
透明と不透明は
限り無く澄みきって
螺旋の配列を
組み換えることを、
許さずに
 
 
だから
迫り来る
朝のスクランブルで
私は息を潜める
 
何かが音を
不意に鳴らしてしまうのを
じっと
じっと、待って
 
息を、潜める
 
 
 空気が鳴る
 水が鳴っている
 空が鳴いている
 全てが、鳴り始め
 
 
大きく
息を吸いきってしまうことを
あの螺旋を
見張るときの目で睨み
許しはしない
 
私は
鳴ることは出来ない、と
知って
泣き声をあげようとも
何も、変わりはせずに
 
 
 全てを知って
 
 
朝靄に隠されたままの
乳白色の意識は
朝靄に守られて
呼吸を再開していく
 
透明と不透明が
限り無く澄みきっているのを
呼吸をした私に
また、確認する術など
ある筈もなく
 
 
 空気が鳴る
 水が鳴っている
 空が鳴いている
 私は、泣いている
 
 
世界に混ざりきれずに
呼吸を
 
呼吸を。


自由詩 呼吸 Copyright 山中 烏流 2007-05-07 08:22:09
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