あまがえる、再会
なかがわひろか

久しぶりじゃないか

思わずそう言った僕の方を
あまがえるは振り返る

久しぶりのあまがえるは
少し痩せて見えた

仲間の合同葬儀なんだ

彼はそう言った

この時期になるとよ
若いやつ等が車に轢かれて死んじまうのさ
あれだけ公道には出るなって言ってるのにさ
死ぬ順番間違えやがってよ

あまがえるはとても悲しそうだ
僕は何も言えず
黙って聞いている

一匹ずつやってたら間に合わねえから
こうやって週にいっぺん
一緒にやってんのさ

あまがえるは少し涙ぐむ

よかったら
手え合わせてやってくれよ

僕は両手を合わせる

僕は何かを言おうと思ったけど
気の利いた言葉を思いつくことができなかった

本当にバカなやつらだよ

あまがえるの声がかすれる

(「あまがえる、再会」)


自由詩 あまがえる、再会 Copyright なかがわひろか 2007-05-07 00:06:17
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