き
恋月 ぴの
重ねあう肌のあたたかさに
見いだそうとするもの
胸の奥に秘めるもの
真新しかったスーツに
シワもめだってきて
某寂無人のかかとに踏まれた
つま先が疼く
こんなはずじゃなかった
そんな。わたしの弱音に
励ますでもなく
あなたは
何をそんなに急いでいるのかな
手帳に記した時計の針に追われ
髪を振り乱す自らの姿に気付いた
なんだかね
失いかけていたのかな
大切なもの
そして。駆け足で通り過ぎようとした
小さな公園の片隅で
見つけたよ
昨夜の雨に濡れた紫陽花の
淡い色合いの
安らぎと
直向なだけでは生きてはいけない
そんなことの意味