朝帰り 
服部 剛

仕事でヘマをして 
渋い顔で始末書を書き 
残業の書類の山に囲まれ 
気がついたら午前0時 

職場のソファーで
目が覚めた日曜日 

さえない朝帰りの道 
降り出した雨に 
傘も差さずずぶ濡れて 
自転車の重いペダルを漕いでいた 

前方に 
ドーベルマンを 
赤い首輪でつないだ婦人は 
立ち止まり
慌てて傘を開いた 

ドーベルマンは 
後ろの片足を上げ 
いくつもの波紋がひろがる水溜りに 
弧を描いて 
放尿した 

日々ずぶ濡れるのが 
自然なぼくは
ほくそえみ 
少し軽くなったペダルを漕いで 
傘の下で眉をしかめる婦人と
片足を上げたドーベルマンを 
追い越して 
家に帰った 





自由詩 朝帰り  Copyright 服部 剛 2007-05-06 21:14:21
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