点呼
umineko
山崎さんは次は自分の番だと思っている
隣の老人はもう逝ってしまった
遠い朝の点呼のように
順序があればいい
そして死にも
牛乳ビンのふた
爪で弾いて
裏が出るか表が出るか
そんなゲーム
ずいぶん無茶をしたものだ、と
彼は思う
しかしそれはいつも彼が
決めてきたこと
古い洋画の主人公が
葉巻をくゆらせる
別に見たいわけじゃなく
不景気なニュース
あざといバラエティ
メディアは
もはやパトロンに成り下がった
しかしそれもどうでもいいこと
自分の居場所さえ
誰かが小声で決めている
湯のみ
名札
白いシーツ
しがみつく窓わくが
もうそれほど高くないことを
山崎さんはぼんやり
気付いてしまっている