故ブラッド・ノウェルに
馬野ミキ

果物を持って歩いていこう
どこに歩いていくかは知らない
ポケットに入らないこのでかい果物
手に持って歩こう
どの国から輸入されたのか
どの船に積まれてきたのか
フルーツよ!
いつの時代に黒人たちは摂取されたか
知らない果物
知らない俺たち
おまわりとキャッチボールしよう
アウトなら職安の前で食べちまおう


俺は一人ぼっちで共同墓地にたたずむ
これだけの数の人間が生きて
死んでいったのに
後に残されたこの土地はなんて静かなんだろう
戦争や寿命や肺ガンや俺の知らない病気にかかって死んだホームレス
州をまたぎ活躍した連続の殺人鬼に犯された魂 
サーカスの玉乗りの練習をしてて死んだ間抜けな奴もいるだろう
だから俺は祈るんだ
でかい果物を小脇に抱えて一瞬祈る
そして歩く


俺は宙に向かってフルーツを投げる
そうするとフルーツは落下してくるから俺は両手で受け取る
これはニュートンの法則と呼ばれているが
ニュートンが見つける前からそうだったろう
そう気づいてから俺は本を読まなくなり
こうして墓場をほっつきまわってるってわけさ
町の誰もが俺についてのよくない噂してるよ
でもいつかレコードが100万枚売れて俺たちのBANDがグラミー賞を取ったら
俺にも親戚が増えるだろう
彼らをあたたかなスピーチで迎えよう
果物をほおばりながら


自由詩 故ブラッド・ノウェルに Copyright 馬野ミキ 2007-05-06 00:39:23
notebook Home 戻る