こどもの日
小川 葉

王子よ
今夜が最後の晩餐と思え

私は王子を
最初で最後かもしれない
戦いへ導いた

勝てるのか負けるのかは
わからない

しかしこのような経験をせずに
いずれ王位を継ぐことは困難であると
王様の私は考えたのである

戦いの火蓋を落とすように
市場の管理人は召還され
値下げの刻印が焼き付けられた

隙をついて他国の王様が
槍を投げてきた
私は軽やかにそれを避けると
王子はその槍を
両手でつかみ投げ返す

他国の王様の背後には
数人の王子がいて
いっせいにブーイングするが
ものともせず我が王子は
値下げの刻印が記された食物を
次々とすばやく
買い物かごに放り込んだ

戦利品を馬車に詰め込んで
意気揚々と国へ凱旋すると
我が女王は喝采して私たちを迎えた

女王は

全部半額じゃない!助かるわ!
と叫んだ

今夜はパーティーである
この国をあげて王子を祝う

山盛りのフライドチキン
フライドポテトそれにエビフライ
焼きおにぎりとチョコパン・・・

我が王子の
大好物ばかりである


自由詩 こどもの日 Copyright 小川 葉 2007-05-06 00:27:43
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