初夏を通り抜ける風
ぽえむ君

海からやってきたその風は
夏を通り抜けてゆく
海辺の松林をさっと過ぎ
細い坂道を力強く上ってゆく
木造立ての駅が見える
自動販売機で飲み物を買う人に
あいさつをする
言葉は出せないけれど
どうやら風に気がついたようだ
丘の草花を撫でてゆく
花は揺れ小鳥は風に乗りかかろうとする
森まではもうすぐだ
陽射しが風の背中を押している
風は森の中で休んでいる
大きな葉を繁らせた木々の中で
木漏れ日にあわせて呼吸を整えている
森から海を眺める
海はきららと夏を強く光らせている


自由詩 初夏を通り抜ける風 Copyright ぽえむ君 2007-05-05 10:07:05
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