8月の同窓会
渡 ひろこ

見果てぬ夢を抱いたまま
いくつもの夜を越えて巡ってきた


摂氏34度
陽炎のような曖昧な輪郭
記憶と現実が交差して
今 密やかに始まる
8月の同窓会


かくせぬ僅かな緊張

見えない点を中心に均衡をたもつ半径

移動しても縮まらない対角線


武装解除はマナー・モード忘れた
着メロ“TUNAMI”


やがて無垢で無邪気な迷える男女
湿度と喧騒がからみ合う街に
流線型にあだ名を飛び交わし
軽やかに消えていく


         

         (無防備な時間は泡沫の夢のかけら
         それは子供の頃に舐めた舶来のドロップ
         金色の缶の中
         ルビー サファイア エメラルド
         いつまでも口の中でころがして
         味わっていたいのに
         泡雪のように溶けて消えていく
         甘酸っぱい余韻だけ残して・・・)
         




陽炎のような輪郭をなぞりたくて
家中をさがしてみたが
うたげの名残は見つからない
























自由詩 8月の同窓会 Copyright 渡 ひろこ 2007-05-04 20:52:40
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