詠えるロッカー
たもつ

たこの入ってない偽物のたこ焼きを
俺たち、食べ続け
成犬になるまで幼犬を
俺たち、育て続け
そのあとはライブハウスで
ヒトデの数を愛と間違え
隣の人に怒られている
ロック、俺たちのロック
翼があればおまえの住んでいる街まで
誠意と愛嬌を届けに行くぜ
でも翼は最初からないから
唇の端から言葉のようなものを垂れ流して
五七五七七の歩幅で詠ってる
ロック、俺たちのロック
震える魂をシャウトすれば
拳は玄関でスリッパを並べ続け
せつないおまえを抱きしめてる
見ろ!俺たちが世界と呼ぶところを
大人たちは争うことを止めずに
荷物を縛って郵送するのに追われる毎日
だから!俺たちずっと子供のまま
海水浴場に片足を突っ込んで
とても痛い
空にはいつまでも満月になれない三日月
何かが欠落してる都会の片隅
両腕を伸ばして珍しいと噂されてる
俺たち、今日もまた
誰かの作った定義に踊らされ
同姓同名の人もどこかできっと
涼しい風に吹かれてる
 
 


自由詩 詠えるロッカー Copyright たもつ 2007-05-04 19:46:48
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