告白
なかがわひろか

あなたのことが好きだと云うと
きっとあなたも
そうだと云うでしょう
それが分かっているから
私は何も云えません

好きという言葉は
重いのですね
私が唇まで
なんとか押しやっても
私の薄い唇では
その言葉を外に出すことができません

またずっしりと私の胃の底へ
落ちてくるのです
私は懸命に胃液で
溶かそうとするのですが
その前に私の胃壁が
溶けてしまいそうになるのです

あなたも同じでしょうか
いいえそんなことはないでしょうに
あなたは毎日でも
その言葉を振りまいていらっしゃいますもの

私の胃が溶け落ちて
体中がその言葉に毒されたら
きっとあなたは私を好きでなくなるでしょうから
私は毎日懸命なのです

そんな私だから
あなたは好きで
いてくれるのです

(「告白」)


自由詩 告白 Copyright なかがわひろか 2007-05-04 03:02:29
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