わたし うたでした
soft_machine
子どもたちのかおり水はかがやく
わたしの足をのみさらうもの
それはとても自由な戯れに見えたけれど
目をとじて 耳をすませば
ひとつの韻律をかんじるわ
わたしもむかしは うたでした
もういいかい
まあだだよ
・・・・・・
街のおとはいつだってにぎやかでなつかしい
人のおとが集まってできたもの
それがどうしてこんなにもさびしい
とびらのむこうですぎ去るおと
孤りでいてもいためる時の
聞こえてくるのは いつも夜だわ
もう、いいですか
いいえ
もう いいのです
だれにおそわって聞こえはじめたのか
声にならない人のこえ
子どもたちは薔薇のおでこでかけぬけながら
わたしのなかにいくつかのしおりをはさんでゆくわ
それがわたしを堪えさせた空のおと
ええ、おさない頃はたしかに
わたし うたでした