ダブルブッキン’
シリ・カゲル

スナフキンと寅さんが
旅先のホテルでダブルブッキン’した
それは旅行代理店の手違いによるものだった

そもそもふたりが一緒になったら
いけない理由なんてなかったけれども
幸いにも空き部屋がひとつあったし
なんだか別の世界からの冷たい視線も感じたりして
ふたりは別々の部屋に宿泊することにし
ホテル滞在中もなるべく顔を合わせないように
しめしあわせた

でも展望露天風呂で一緒になっちゃって
結局、同業者のよしみってわけでもないけど
どちらから申し出たわけでもなく
互いに背中の流しっこをすることになった

スナフキンの背中は意外とマッチョで
健康的に日焼けなんかもしていたけれども
寅さんの背中は余分な肉がついた
もうくたびれた中年の背中だった。


自由詩 ダブルブッキン’ Copyright シリ・カゲル 2007-05-02 22:42:21
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