大車輪
あおば
2007/05/02
問題ありません
明日からも
大車輪で
元気にやっていけます
すべては
気のせいです
なんでもないことを
気にするから
大事になるのです
元気な声に促され
大通りに出たら
新しい車が道路中に犇めいて
ゴーゴーとうなり声を叫びながら
元気いっぱい走っていく
右から左へ
左から右へ
信号機の指示に従って
一瞬の遅れもなく動き回っている
裏通りにも押し寄せて
大きな車体をめり込ませて走ってゆく
停まったかと思ったら急に走り出して
右へ左へ忙しく回って元来た大通りに帰って行った
何しに来たのか知らないけれど
お金をばらまいていったのでないのは確かで
目をこらしてみても一円も落ちてはいない
ガソリンが値上げされるというニュースに
大慌てで安い闇ガソリンを探しに来たのかも知れない
大八車を押した老人が野菜を売りに来て仏頂面してタバコを吹かす横町に大きな車が飛んできて少しの隙間も許さないというように犇めきあって大八車の車輪を外していった。
タバコを吸っていた場所には吸い殻もなく火の気もなく煙も残っていない
何も残っていない場所に大きな車が止まっていてなにもしないでいる
何かあるのかと思って中を覗いてみたら特別なものはなにもなくて新しいベンチシートにも、盗まれてはこまるようなものはなにもなくて永遠の静けさだけが今にも車軸が折れそうなくらい積まれていてこれ以上走れないと悲鳴を上げているのがわかる。
大八車を押しのけて走ってきた大きな車は道路が狭くて走れないから停まっているのではなく重すぎて走れなくなっているのだと今日はじめて気がついた。