果たして月へ行けたか(2006)

「777円」

某ディスカウントショップの店頭に
所狭しと大量に陳列されている
サウナスーツに貼り付けられた値段


食い散らかした菓子袋やら
缶ビィルの後片付けもそこそこに
はずみでうっかり購入してしまった
ソレを装着して
いまし方
軽やかな足取りで
部屋を出て行ったばかりの友人と
全く
同じステップを踏みながら
爽快に玄関を飛び出してみる
夜明け


果たして
これはウォーキングなのだろうか?
それとも
一時的な気の迷いみたいなもんだろうか?
とゆうか俺は
こんな莫迦々々しいレジャーを
前のめりになっていつまで続ける気なのだろうか?
フライング寸前のアスリートと、どっちが前傾姿勢だろうか?
死ぬまで止めない気だろうか?

もしくはただの酔い覚まし...?


汗ダクダク、酸欠状態になってフラフラ帰ってくる
フリをする
季節柄、ウォーキングなぞでは汗ひとつ
垂れやしないサウナスーツ

いつもと同じ
明けない真夜中の
夜明け


雨が上がり、月が出ていて、空気がおいしい。
もしも、この大気中に含まれている酸素が
全部植物が放出したオナラだとしたら...?

俺のことを、聞いたこともない
TVプロデューサーと見間違える
あの古着屋の店員がいう通り
俺が知らないだけで、まさか俺は
本当にTVプロデューサーなのだろうか...?


自由詩 果たして月へ行けたか(2006) Copyright  2007-05-02 14:05:03
notebook Home