達磨の詩 
服部 剛

夜、コンビニへ行く途中 
「 傷・へこみ・45分でなおします 」 
という車修理の看板が 
無数の電球に縁取ふちどられ 
夜道に ぴかぴか 点滅していた 

今までに傷ついた恋心や 
人間関係の沼にはまって凹んだ心を 
魔法のようになおしてくれる 
修理工をあてもなく探し 
途方に暮れていた 

振り返ると 
今まで何度もぶざまに転び 
ひざを擦り剥いた場所に 
うっすら浮かぶ 
いくつもの黒い跡 

こんな自分も人並に 
なんとかここまで歩いてきた 

ひとりしみわたる夜を越え 
誰かのまなざしに名前を呼ばれ 
きっ と結んだ唇で 
頼りなく倒れた身を起こしてきた 

何枚もの瘡蓋かさぶたを地に落とし 
分厚くなった、つらの皮。 

すっ転んでは起き上がり 
一つの黒目で 
明日を見る 

わたしは
まあるい 
達磨だるまさん 




      



自由詩 達磨の詩  Copyright 服部 剛 2007-05-01 20:41:49
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