達磨の詩
服部 剛
夜、コンビニへ行く途中
「 傷・凹み・45分でなおします 」
という車修理の看板が
無数の電球に縁取られ
夜道に ぴかぴか 点滅していた
今までに傷ついた恋心や
人間関係の沼に嵌って凹んだ心を
魔法のようになおしてくれる
修理工をあてもなく探し
途方に暮れていた
振り返ると
今まで何度もぶざまに転び
ひざを擦り剥いた場所に
うっすら浮かぶ
いくつもの黒い跡
こんな自分も人並に
なんとかここまで歩いてきた
ひとりしみわたる夜を越え
誰かのまなざしに名前を呼ばれ
きっ と結んだ唇で
頼りなく倒れた身を起こしてきた
何枚もの瘡蓋を地に落とし
分厚くなった、面の皮。
すっ転んでは起き上がり
一つの黒目で
明日を見る
わたしは
まあるい
達磨さん