上海された
nm6

シャッフルして上海された。ぼくらはアスファルトに寝そべったままの、夏の夜なのです。気がつくと彼は東京されていて、ぼくらはそんな近視で眺めるいつものぼやけた月を「冗談だろ?」と問い詰めたりしている。しりとりをしよう。しりとりをしよう。首を絞めてくれ、ときみは世界と自分との距離をきつくはかろうとして、ぼくにそう願ってはうっとりとしている。ところでルーマニアされたらどこへ行ってしまうんだろう。そうしてぼくは、詰まってしまった喉のしばらく下を忘れられない。体育座りのままではみょうに静かで、がらんとしてしまう。しりとりの続きは遠い国のルールだ。


フリル。
絡みついてふざけた。
味がして匂いがして、それから目を開けた。


ハイジャックして香港された。発音の上下でトリップする身近な浮遊にパレードを引き連れるのです。気がつくと彼は印度されていて、ぼくらはそんな遠視で眺める東京の遠くで起こっている出来事がビルに隠れて何一つ見えない。しりとりをしよう。しりとりをしよう。サイドは固定したまま、インスピレーションを差し出して交換するまわりの午後の曖昧な光だ。ところで台湾されたら誰と落ちてしまうんだろう。そうしてぼくは、詰まってしまった喉のしばらく下を忘れられない。終わることないみょうに静かな、気づくことと間違わないことの間のかなしみ。しりとりの続きは遠い国のルールだ。


ヘアピン。
忘れ去って片付けた。
振り返る癖は、最近にはじまったことだ。


冗談めいた月になって、小難しいパントマイムはもう終わりだ。ぼくらが上海されて東京されてルーマニアされて香港されて印度されて台湾されている間に、今日は明日になってゆく。どうにももっともらしい理由だけれど、簡単なことばを吐かないようにするためだろう。嘘はどうにも損なのに、せき止めることができない。せめて、優しいことばを。風邪をひくように酔ったまま、あふれることについて考え抜こう。スルーパスは出来事に過ぎない。


しりとりをしよう。
絡み付いてふざけて、忘れ去って片付けた午後に。
とにかくいま上海されてしまったのは、予告だらけのぼくらで、
堂々巡りの中でひとまわりして、静かに浮遊したままそうしている日々だ。


自由詩 上海された Copyright nm6 2004-05-03 15:33:08
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