緋い月
北大路京介

いつのまにか 僕は 悪いこと覚えてた
ひとりきりの 夜で 闇の中震えた

  誰も助けてくれない 誰も癒やしてくれない

人間は誰しも 不完全な生き物
欠けている部品を隠しながら生きている

  誰も教えてくれない 誰も見せてはくれない


緋い月に狂った君でも抱きしめよう
ドロドロした君でも 僕なら 抱きしめよう
冷たい唇でも 君なら キスをしよう
304回目を 越えても キスをしよう



砂漠色のページ 泣きながら開いた
足の指掴んでた 小鳥の詩を聞いた

  咲き続ける花などない 降り止まない雨もない

渇いた鳩尾に 君は水を運んだ
緑の海原が空の下広がった

  僕には血が流れてた 君はそれを気づかせた


緋い月に狂った君でも抱きしめよう
ギラギラした君でも 僕なら 抱きしめよう
冷たい唇でも 君なら キスをしよう
304回目を 越えても キスをしよう


   銀色のフィルムみたいには戻らない 戻せない 戻さない


緋い月に狂った君でも抱きしめよう
ドロドロした君でも 僕なら 抱きしめよう
少しの温もりさえなくても 抱きしめよう
翼が消えたならば ふたりで 堕ちていこう

緋い月に狂った君でも抱きしめよう
ギラギラした君でも 僕なら 抱きしめよう
冷たい唇でも 君なら キスをしよう
304回目を 越えても キスをしよう


自由詩 緋い月 Copyright 北大路京介 2007-05-01 11:51:02
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