収穫祭
村木正成
月光が街を包み込む夜に
猫は二足歩行で立ち上がり
夜露を手鏡にして
枯葉のコートをまといつつ
雲をカーテンとしながら
おめかしをする
月光が街を包み込む夜に
雀は口笛高くならしつつ
街灯をスポットライトにして
稲穂をチェロに仕立てつつ
木の実をステージにして
演奏会の準備です
だれかが夜霧のパイプをふかして
たちまちあたりは白世界
だれかが星に火をつけて
たちまちあたりはキラキラ光る
街の広場の中心に
みんななるたけごちそうを
バスケットに詰めやってきて
月光が街を包み込む夜に
雀の音楽にあわせながら
猫のダンスも軽やかに
収穫祭の宴です