収穫祭
村木正成

月光が街を包み込む夜に
猫は二足歩行で立ち上がり
夜露を手鏡にして
枯葉のコートをまといつつ
雲をカーテンとしながら
おめかしをする

月光が街を包み込む夜に
雀は口笛高くならしつつ
街灯をスポットライトにして
稲穂をチェロに仕立てつつ
木の実をステージにして
演奏会の準備です

だれかが夜霧のパイプをふかして
たちまちあたりは白世界
だれかが星に火をつけて
たちまちあたりはキラキラ光る

街の広場の中心に
みんななるたけごちそうを
バスケットに詰めやってきて
月光が街を包み込む夜に
雀の音楽にあわせながら
猫のダンスも軽やかに
収穫祭の宴です


自由詩 収穫祭 Copyright 村木正成 2007-05-01 09:09:11
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