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結城 森士
眩暈に似た痛みが広がる
右手の人差し指を中心に
(歪に屈折しながら
(彷徨を(彷徨し
(彷徨っている
左右円滑に回転する
首の骨/球体A
(貴方が可能な限り速(早く
(振ってくださいとても速く
焦げる気がする
ドライヤーの
プラスチックが
焦げる気
(こえる
(隣人の、
咆哮
・
・ 性
・・
自由のキャンバスに
色を塗る
白い絵の具で
螺旋階段の旋回に
眩暈を覚えながら
私の意識は落ちる
呼ぶ声は聞こえず
暗闇に消えてゆく
影が囁く/不可視
微笑む/目を瞑る
頭は鉛の様に重く
鈍い冷感を伴って
(左右に(貴方が可能な限り早く
(速(早く振ってくださいとても
(円滑に(倒れる
静
「自由の
キャンバスに
色を塗る
白い 意識として。」
階段を上りきり、
病室の
ドアを
開ける
と白紙
の様な
セカイ
マルデ
白イ闇
貴方ハ
此処デ
ネムリ
向コウ
ガワデ
ネムリ
ツヅケ
/私は何も見たくない
しかし目を閉じてはいけない
闇の中に取り残されてしまう
回想する記憶/その中で
目を閉じた/私の意識は
強迫の笑顔の中にある「目を
大きく開いて
口角を耳元まで吊り上げて
笑ってください「目を
大きく大きく大きく見開いて
口角を耳元まで
(広角で接写して笑っ
「笑ってください。」
(自由のキャンバスに色を塗る。
白い絵の具は想像を始めます)笑っ「笑ってください。」
fASt AS yOU cAn.