詩作論
楢山孝介
毎日毎日たくさんたくさん詩を書いてきたのだから
自分は百通りくらいの書き方が
出来るようになっているだろうと思っていたら
それは数字というより色に似て
水色から藍色までのグラデーションでしかなくて
黄色や赤色のものは書いたことがなくて
他人の眼にはそれほど違って見えていなかったり
自分にはこれといって書きたいものや
誰かに伝えたいメッセージなんてないから
作風なんてないと思っていたら
書きたくないものや書けないものはたくさんあるので
いつのまにか書く範囲が限られていて
読み返すと通底するものがぼんやりと見えてきたり
大量の詩を読んだ後はなかなか詩が書けなくなる
好きな詩から露骨に影響を受けないようにしたり
好きじゃない詩に出てくるような
ありきたりな言葉や表現を使わないように気を使ったり
でも一日詩を読まないと元に戻る
そんな話
そんな程度の話