散在する、朝
霜天

刈り取られた
花々は暮れようにも
暮れられず
風が吹くのを待ちながら
やがて、
朝になります


  いつか風、のように
広げた両腕は冷たい、思い出となりますが
 その内、に抱えた花束は
今日も朝になるのです


知られることも
 届くこともない
散在する朝があなたの手にある


彼方より届く砂の風で
空が赤く染まると
誰かは綺麗と言うでしょうし
俯くしかない声もある
いつも
 いつかも
手の届かない場所ばかりで
見えなくなるのは抱きしめる直前だということ


久方ぶりに届いた手紙には
あなたが川になった、とだけ記されていて
ほっと、胸をなでおろしたことも
冷たい、思い出となるでしょうか
緩やかに流れるあなたの腕に
今日も朝があるでしょうか
静かに咲いて、いるでしょうか




暮れようにも
暮れられず
空を埋めた花々は
やがて散在する、朝となります

知られることも
 届くこともない
あなたの手の中で、咲いた日のこと


自由詩 散在する、朝 Copyright 霜天 2007-04-30 02:09:32
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