辺土
「ま」の字

海にむかって荒れた泥土の地だ
青々と
七月の草が茂りきっても
空には爽快な音を残し 
人が飛んでゆく

診療所の一軒も残さぬ海岸は
茫々と
ゴミだ何だが顔を覗かせ
日がな 風にばたばた震えるですよ
浜辺では
妙な人々が
寂しいアフリカンドラムに興じ

海浜の保養施設は
行けばいつも家族連れで賑わっている
人をかき分けかき分け展望台にのぼると
はいいろの荒野に
煙突が一本
薄くゆっくりと立っていた

おそろしい

ここはおそろしい
豊穣だ荒涼だ灰だ華やかなる野垂れた



人が飛ぶ
これでも七月には
青々と夏の草が茂り



         ―石狩浜、番屋の湯付近


自由詩 辺土 Copyright 「ま」の字 2007-04-28 20:25:34
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