辺土
「ま」の字
海にむかって荒れた泥土の地だ
青々と
七月の草が茂りきっても
空には爽快な音を残し
人が飛んでゆく
診療所の一軒も残さぬ海岸は
茫々と
ゴミだ何だが顔を覗かせ
日がな 風にばたばた震えるですよ
浜辺では
妙な人々が
寂しいアフリカンドラムに興じ
海浜の保養施設は
行けばいつも家族連れで賑わっている
人をかき分けかき分け展望台にのぼると
はいいろの荒野に
煙突が一本
薄くゆっくりと立っていた
おそろしい
ここはおそろしい
豊穣だ荒涼だ灰だ華やかなる野垂れた
だ
人が飛ぶ
これでも七月には
青々と夏の草が茂り
―石狩浜、番屋の湯付近