アフリカ象の骨だらけの墓場
はじめ
アフリカ象の象牙は高く売れるので墓荒らしが多い
今日も3人組の泥棒が象牙を探しにやってきた
この地域は干魃が多く雨がほとんど降らないので 動物達はおろか植物達にとって地獄のような場所である
この辺りのアフリカ象達は何故か死ぬ前にこの墓場に集まるという習性を持っている どの一頭が最初に始めたのかは知らないが この墓場で死ぬことはアフリカ象達の決して破ってはいけない掟なのである
毎日毎日 あらゆる方角からカラカラに渇き切ったアフリカ象達が集まってきて墓場の中で倒れて絶命する すると物陰に隠れていた泥棒達が集まってきてそのアフリカ象達の象牙を奪い合う 人間達はとても阿漕な動物なのである 蠅や肉体を分解するバクテリア達はその様子をじっと見ている 終いには殺し合いまでもしてしまうのである
争いに負けた一人の中年男が輪から外れて倒れて死んだ 殺した男は震え上がって恐怖に脅えた 周りの男達も畏怖を感じ象牙を持ってそそくさと一目散に逃げていってしまった 象牙を切り取られた象(まだ子供だった)の目には蠅が止まっていた 子象は涙を流しているようにも見えた アフリカ象の墓場は中心に向かうにつれて白骨の山になっていた 山のてっぺんには子象の白骨が象牙が横たわっていた ロマンスグレーの干天が今にも泣きそうな顔で荒れ果てた地上を凝視している しかし雨は降らない
3人組の泥棒達は一度宝石強盗の罪で警察に逮捕されたが(覚えているだろうか?) 脱走して遙々アフリカまでやって来た この地域では子供の象牙が高く売れるので 3人の泥棒達はさっそく子象探しを始めた
しかし何処を探しても子象の象牙は見つからなかった 子象の死体はごろごろ見つかるのだ だが象牙の付いた子象となると駄目だった 全部綺麗に象牙が削り取られていた 子象は内臓から動物達に食われ バクテリアや虫達によって肉体をボロボロにされていた その光景 いや この墓場一帯の有り様を見た下っ端の泥棒は思わず吐き気を催した 蠅が充満し 見たこともない虫が飛び回り オオカミが腐肉を貪っているのは恐怖すら感じるものだった
下っ端の男が墓場のてっぺんを眺めて子象の白骨をぼんやりと見上げて眺めていると 突然 向こう側から 「おい!! 象牙の付いている子ゾウを発見したぞ!!」と大声で兄貴が張り上げた
下っ端は喜んで「今そっちに行くよ!!」と走っていこうとしたその時 遙か彼方からなんと 警察官を載せたアフリカ象の大群が押し寄せてきた!!
「お前達!! 墓荒らしの容疑で逮捕だ!!」と言って一気に墓場を飲み込んだ
下っ端や二人の兄貴達はぺっしゃんこにされて 襟首を捕まれて警察官達に逮捕された またもや捕まっていた刑務所に入れられ 囚人服を着せられ足枷をされて投獄された
墓場には静寂さが戻った 何年ぶりかの大雨が降って山を崩し 満月が出て地均しされた白骨の墓場を浄化させた 今は墓場は無くなり 僅かな緑が広がっている
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ハラハラドキドキ!! 3人(匹?)の盗賊団!!