怖がり
山中 烏流
上辺だけの友情が
まかり通るこの場所で
鼻歌を歌い続けている
窓は全開のまま
人々は未だに
その存在に気付かない
中庭では
明日を夢見るティーンエイジャーが
つまらなそうに
空を見上げている
その空から
明日が来るんだよ、と
言ったって彼等は
信じないんだろう
きっとそうだ
(勝手な妄想、だけれど)
音楽室では
適当に見つけた夢に意味付けをして
ギターを掻き鳴らし
ありふれた歌を歌う
ティーンエイジャーがいる
ねぇ、ちょっとそこの君
ラブソングしか歌えないのかい
愛にしか生きれないのかい
それとも
その歌しか知らないのか
(そういうことに、しとこう)
職員室では
同じ人間が同じ人間を
育てるためのプログラムを
生産している
オールドタイプがいる
先生、その殻を破るのに
どれくらいの時間がかかりますか
自由を思い出すまで
定年まで待たなきゃ無理ですか
(オリジナルは、いては駄目ですか)
教室に戻ると
上辺だけの繋がりの中で
許し合うティーンエイジャーが
笑っている
鼻歌は続けたまま
窓を閉める、が
やっぱりその存在には
誰も気付きはしない
誰も
認めようとしない
自分と違うものを
誰も、認めようとしない
自分を変えるものを
誰も、受け入れようとしない
怖がっているだけなのは
誰しも
気付いているのだけど
(多分、)
気付いているのだけど。