新世界
山中 烏流

雨上がりの世界
虹はもう、霞んで
短い終末を迎えた街に
新しい世界がやってくる
 
 
隅っこでうずくまったままの
黒く淀んだ
嫌われたものたちの声が
 
啜り泣いているのを
人々は
気にもとめないで、いる
 
 
「明日、朝が
 やってきたその時
 
 僕たちはただ
 なすすべもなく」
 
 
何もない
真っ暗な闇の中に
引き摺り落とされることを
知っていても、なお
 
誰も助けたりは
誰も憎んだりは
 
これを、世の常として
 
 
夜闇が
世界を引き連れて
薄ぼんやりと
明るくなっていく
 
嫌われたものたちは
もう泣いてなどいない
押し黙っている
押し黙って、いる
 
 
(もう、泣くことすら、)
 
(全てを運命として)
 
 
朝が来て
新しい世界の片隅に
彼等は存在しなくなる
 
最初から
居なかったのだと
なる
 
 
(こんな世界、ただの)
 
 
そうして私は、今
 
隅っこで
うずくまって
 
(本物の)
新しい世界を
望んでいる
 
 
迎えに、行こうと。


自由詩 新世界 Copyright 山中 烏流 2007-04-27 12:06:34
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