適性
あおば

             2000/04/20


歩いてゆく後ろ姿
貧弱な胸の筋肉
あれでは戦えまい
今夜も背中を貫いて星が降る
キラキラと光っているうちは
危険と教えられた

胸に★印のマークのある
革ジャンを着けてきどつてる
ワイルドのつもり
カッコをつけて歩いてく
走ると転ぶから歩いてく
前方後円墳の歩みはぎごちなく
見ているとイライラする
大きな奴も小さな奴も
似たようなものだ
背中を曲げてよたよた歩く

向こうからトラックが来て
避けきれずに転んだぞ
地面との衝撃で粉々になって
あたりは砂だらけ
円筒埴輪も
装飾埴輪も何もかもぶちまけて
這って慌てて逃げてった

無理することはないのだ
立ち上がることなく
静かに春の空を見て
じっと仰臥していればよいのだ
仕事に性別はないと言うけれど
適性というものはあるようで
頭の善し悪しとは違う
好き嫌いとも違う
情報の固まりみたいなものが存在する
では、なにかと言われると
しかたないから、
前方後円墳に荷物運びは
頼まない方がよいのではないかと
いつも答えている




自由詩 適性 Copyright あおば 2007-04-26 00:53:32
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