夕立
山中 烏流

夕べ目を開けたら
水溜まりが出来ていて
手で掬って
口に含んでみたけど
酸っぱくはなかった
 
広がる波紋は
限り無く優しい
広がる雲は
限り無く冷たい
 
 
今日は月が
泣くための夜
 
雲がいたずらをする前に
カーテンをしめて
そっと見ないふり
 
静けさを踏破する
哀しみの連鎖が
心に木霊して
声を荒げていく
 
 
「あぁ、君も、そんなに」
 
「泣きたかったの」
 
 
哀しみの連鎖は
まだ
(鳴り)やまない
 
荒々しく
木霊するその中で
何故か、優しい風が
吹いた
 
 
 
気が、した。


自由詩 夕立 Copyright 山中 烏流 2007-04-25 16:36:06
notebook Home