道化の秋
あおば
1999/10/05
襟元にひんやり秋風
まことに女ごころと秋の空
どこにも花なんか咲いてない
父母の供養に野の花を
野川の河原に来てみたが
あたりはすっかり夏枯れて
微かに虫の音、鳥の声
空にはひつじが群れ成して
のんびり草を食むばかり
先日はあたり一面
夏の花が咲き乱れ
どれを採ろうか迷ったけれど
今日は何処かへ消え失せて
身よりのない撫子も
頼りにしていたコスモスも
呼べと答えず虚しさ募る
ぽつりぽつりと佇む彼岸花
昨日のスターのポーズ取る
まことに紅にほふ道化者
帰り道、大きな車体を縮こませ
カンカンと鐘を鳴らして消防車
人ごみの中、街を巡視する
大きくて不器用で小心者の
まことに君は紅にほふ道化者