茜色の慕情
渡 ひろこ

おめかししてまいりましょう
からす瓜もほんのり色づいて
アザミの花が熱いため息ついたから
あなたに逢いたくなりました

おめかししてまいりましょう
赤いカエデに負けないように
くちびるに小指でそっと紅をさしたら
金木犀が甘く香ってくれました

戯れてくるススキの野原をかけぬけて
うすむらさきに咲くヨメナの丘をこえて
金色の夕陽をまとい
ほつれ髪に小さなナンテン
きれいでしょう

あふれる想いは
木洩れ陽のようにきらきら
だけど
せつない気持は
落ち葉のようにゆらゆら

どこにもいかないで
まっててね
まっていてね

ホウセンカの実がはじけるように
とんでいくから

おめかししてまいりました
どうしてもあなたに逢いたくて

あざやかな秋が
暮れるまえに





















自由詩 茜色の慕情 Copyright 渡 ひろこ 2007-04-24 23:56:31
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