楢山孝介

愛する者を守るため
愛さない者を傷つける

思い入れのある愛にのめり込むため
初対面の愛にはそっぽを向く

愛なんて知ったことかと眼を背けると
背後にも広がっている愛に眼を潰される

愛に裏切られたと嘆く男
愛は裏切らないと力説する女
裏切った覚えも
裏切らなかった覚えもないので戸惑う愛

空から大量に愛がばらまかれても
人々は気付けず、畑のキャベツばかりが大きく育つ

地面から愛がぽこぽこ生えてきても
大人たちはゴミとして片付け
子供たちは蹴飛ばして台無しにしてしまう

それでも愛は滅びることなく
世界にあまねく行き渡る

大きなお世話だ


自由詩Copyright 楢山孝介 2007-04-24 22:01:22
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