贅沢な朝
ウデラコウ
1本早いバスに乗って
あの駅ビルの2階にあるスタバに入って
アイスバニララテでも飲みながら
せわしなく 脇目もふらず 歩いて行く
サラリーマンの塊を
優雅に見下ろしてみようか
それとも
あの隠れ家みたいな階段昇って
格別に美味い
モーニングセットを頼んで
もう少し気合いいれて欲しい 普通な味のオレンジジュースを飲んでみようか
だけど
現実は 大層意地悪で
外身は豪華な財布には
今日の短いランチタイムのお金しかなくて
仕方なく
いつものコンビニで
少し大きめのカフェラテと懐かしいドーナツを買って
雑踏に紛れてゆくのだ
1本早いバスに乗ったら
違う景色に会えるかしらって
期待してみたけど
見えるものは
差して代わり映えもせず
曇天はどこまでも曇天なら
それで構わないから
たまには グリーン券なんか 買っちゃって
行き先は あの丘の街
だなんて 格好つけて
勝手に 日常から
抜け落ちてみようか
そんなことを 考えながら
なかなか仕事が 終らない 貴方に
この 朝を 話したいなぁ
って 願って
誰もいない待合室で
目の前の いつもの 電車を 見送ったら
ふいに
貴方が 言葉をなげてくれるから
あぁなんて
素晴らしい朝だと
それだけで
全てが煌めく
贅沢な朝