贅沢な朝
ウデラコウ

1本早いバスに乗って

あの駅ビルの2階にあるスタバに入って

アイスバニララテでも飲みながら

せわしなく 脇目もふらず 歩いて行く

サラリーマンの塊を

優雅に見下ろしてみようか

それとも

あの隠れ家みたいな階段昇って

格別に美味い

モーニングセットを頼んで

もう少し気合いいれて欲しい 普通な味のオレンジジュースを飲んでみようか

だけど

現実は 大層意地悪で

外身は豪華な財布には

今日の短いランチタイムのお金しかなくて

仕方なく

いつものコンビニで

少し大きめのカフェラテと懐かしいドーナツを買って

雑踏に紛れてゆくのだ

1本早いバスに乗ったら

違う景色に会えるかしらって

期待してみたけど

見えるものは

差して代わり映えもせず

曇天はどこまでも曇天なら

それで構わないから

たまには グリーン券なんか 買っちゃって

行き先は あの丘の街

だなんて 格好つけて

勝手に 日常から

抜け落ちてみようか

そんなことを 考えながら

なかなか仕事が 終らない 貴方に

この 朝を 話したいなぁ

って 願って

誰もいない待合室で

目の前の いつもの 電車を 見送ったら

ふいに

貴方が 言葉をなげてくれるから

あぁなんて

素晴らしい朝だと

それだけで

全てが煌めく



贅沢な朝




自由詩 贅沢な朝 Copyright ウデラコウ 2007-04-24 15:21:45
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