きゃらめる 10
アンテ


                       きゃらめる 10


  あめ

  1

ひとつぶの
しずくは
すなにとけて
あとかたもなく
きえてしまう
かぞえきれない
しずくは
よりあつまって
すなをおしながしながら
うみへ
かえっていく
さいしょはおなじ
ぽたり
いってきから
はじまる


  2

みっかみばん
ふりつづいたあと
あめはぷっつりとやんだ
ながぐつでにわにでて
みずたまりのうえを
ばしゃばしゃあるいていると
みぎあしがあなにはまった
あなはとてもふかくて
とおいどこかへつづいていた
あまりにもとつぜんで
けっしんがつかないまま
えんがわにすわって
とにかくみずがひくのをまった
まだらもように
じめんがあらわれはじめて
みずがかんぜんにひいても
もうどこにも
あなはなかった


  3

きりふきで
あめをふらせてみても
ありたちはもくもくと
はたらきつづけた
そらをみあげれば
にじがかかっていることを
つたえるすべは
なかった


  4

ふかいきり
いっぽさきもみえない
おそるおそる
たしかめながら
それでもすすみつづける
おなじところを
ぐるぐるまわっている
だけかもしれない
どれだけいっても
なにもないかもしれない
あめがまじりはじめる
まえがみがひたいにはりつく
もういっぽ
もういっぽだけ
からだにいいきかせる


  5

さっきから
てんこん かん
のきさきで
はでなおとがしている
とおもったら
ふっていたのは
どろっぷだった


  6

こんなに
たくさん
すいてきが
おちてくるのに
みあげると
とおいかなた
くもはおおきい
なけ
もっとなけ
やせっぽちになったら
うみがまた
あたらしいみずをくれる


  7

みおろすと
いろとりどりの
かさが
ひっきりなしに
ゆきかっている
びるのまどに
ひたいをおしつけて
いつまでたっても
やまないあめ
わたしひとりだけ
なかまにはいっていけない


  8

とっておきの
ふくもくつも
はなたばも
かみがたも
ずぶぬれになって
それでも
あるいてかえりたかった
からだの
うちがわ
そとがわの
くべつがつかなくなるまで
とおまわりをした


  9

あめにぬれないで
そとをあるけたら
どんなに
べんりだろう
ほんきでそうおもってた
みっつのおねがいの
かみさまに
えんえんとせっきょうされるなんて
ゆめにもおもわなかった


  10

あめがあがって
にじがかかると
きっといいことがある
どんより
くもっているひは
どこかきぶんがはれない
そんなせかいなら
わたしもさぞかし
すなおでいられただろう
まどべでひざをかかえて
てんきよほうは
きょうもあめ
おもいつくまま
きょうかしょにのっていたうたを
くちずさむ


   きゃらめる はこれでいったんおしまいです。
   おつきあいいただきありがとうございました。





自由詩 きゃらめる 10 Copyright アンテ 2004-05-01 18:25:24
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