ヒメギミ
石畑由紀子
決まって
微熱がでるのは
実らなかった果実を葬る準備の
涙の熱さ
下腹部の奥深く
あなたのオスは死んでいて
私のメスの両腕が
それでも離すまいと
必死に掴む時の
痛み
姫気味な日は
いつも新月
私たちはテーブルをはさんで
無言で食事をする
私のアンテナが敏感なので
あなたは
うっかりナイフの音も立てられない という
顔をしている
自由詩
ヒメギミ
Copyright
石畑由紀子
2004-05-01 18:23:28