男
つぐこ

 あたしは、男が苦手だ。
あの優しさが怖い、
優しすぎて怖い。
優しい男は嫌い。

男はあたしに決まってこういう、
「化粧をしてみろ」と。
化粧をしたあたしを見て、
男は欲情でもするのだろうか。

交わる時でも、男は苦手。
ちゃんとコンドームを付けていてくれていても、
あなたの精子が怖いんです、
あなたのプレイが嫌いです。

愛しているとか好きだという言葉は男との間にはない。
男は狼なんだよ、と知り合いが言っていた、
あの大切な人は、狼になって別な女を襲っていた。
彼は童貞で、彼女は処女だった。
感想は、気持ちがいいで、その先には射精って言葉があった。
その時、あたしは初めて彼が男になったことを知った。
あたしは処女じゃないけど、女にはなっていない。
彼が無性に羨ましかったが、吐き気がした。
あなたを過去の言葉では縛らない、
悔しいだけ、悲しいだけ。
あたしが本当の狼なんです。



自由詩  男 Copyright つぐこ 2007-04-20 00:23:34
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