ume
見崎 光
朱に染められた蕾が花開く時
甘酸っぱい薫りは辺りを翻弄する
紅に時は流れ
月光の降る闇夜に抱かれたとて
臆することなく咲き乱れ 遊ぶ花弁
散り終えた殺風景な枝葉の影に子を宿し
陽射しに煽られながら朱の空を待つ
遠い日の
我が子の晴れ姿に酔いしれながら
幻覚に過ぎない幸を祈りて
紅が誘う穏やかな刻みの中を落ちていく
鶯は寂しげに
一鳴きを響かせた
自由詩
ume
Copyright
見崎 光
2007-04-19 22:47:58