あなたと小鳥とすずと
板谷みきょう
まことしやかな優しさを盾に
痛みを持たない言い訳の為に
小鳥は精一杯飛んでいる
すずは凛と鳴っている
わたしはわたしらしく生きている
言葉がなくても構わない
誠実で ひたむきな姿があって
初めてちがっていいのだ
気難しさを誇らしげな
入り組んでこんがらがった善し悪しを
様々な差異を認めることの正義で
声高に主張するな。
上っ面だけの気付きに
根底に流れる違いに触れることも無く
数日で忘れ去る感傷に感動できたことを
真実のように語るな。
まことしやかな優しさを盾に
痛みを持たない言い訳の為に
当たり障りのない都合だけの
恥じることも無く満足している人間関係なのに
もっともらしい出逢いの素晴らしさを
平然と口にするな。
淋病を患い26歳で服薬自殺した
作者の生涯も知らず
そんな覚悟もないくせに
『わたしと小鳥とすずと』を読むことで
甘えを正当化するな。
まことしやかな優しさを盾に
痛みを持たない言い訳の為に